株式会社綜合キャリアトラスト

アスペルガーの青年の映画『シンプル・シモン』

こんにちは!

長野市平林で障害をお持ちの方の就職をサポートさせていただいております

障害者就労移行支援事業所 SAKURA長野センターのサービス管理責任者、井口です。

 

10月のうちで1週間のみ上映された映画がありました。

とても良い映画でしたので、みなさんに紹介させていただきます。

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1日昼、夜2回の上映で、平日にはなかなか観に行かれない

かと思いつつ、一大決心をして観てきました。

 

スケールの大きな宇宙のカットに続き、場面転換して屋内に

置かれたお釜のような、ストーブのようなものに、年配の女性

が叫ぶシーンにつながる不思議な展開になります。

 

主人公シモンは、通勤服として赤ジャージを毎朝身に纏います。

その左胸には「アスペルガーです。触らないでください」と

スウェーデン語で書かれた水色バッジをつけて出勤します。

両親と兄の4人家族ですが、兄・サムは恋人フリーダと同棲中。

シモンは両親との確執があると、先ほどのお釜のような

「宇宙船」に退避するのです。手をこまねく母親は「宇宙船」

のシモンに、出てくるように叫びます。ピンチヒッターの父は

手持ちのお金を入れて気を引こうとしますが、シモンは関心を

示しません。

呼び出されたサムは、「宇宙船」に向かい交信をします、「地球

からシモンへ」。シモンは「敵がいて着陸できない」と交信に応え

ます。サムは宇宙船ごとシモンを自分の家に連れ帰り、フリーダ

との共同生活を始めます。

そんなある朝、出勤途中のシモンは街角でイェニファーという

女性と出会い頭にぶつかってしまいます。シモンから身体を触っ

たとされたイェニファーは、彼から平手打ちを喰らい、その唐突

さにも面喰います。しかし、この出会いが後にシモンの理解者と

なっていく布石になります。

 

全体的には軽くアップテンポのBGMが流れ、ラブコメディ的

な内容になっています。

しかし、アスペルガーを自覚しているシモン自身も、兄サムに

誰よりも深く強く支えられつつ、生活のしづらさを感じて暮らして

います。それは現実的な話で決して甘い物語ではありません。

私は、当事者としての生きづらさがどのように描かれているか

を知り、その姿や状況から少しでも多くのことを学ばなければいけ

ないと、気負って観ていました。ところが、上映中に時折会場に

笑い声が起きるのです。それは一生懸命さへの共感の印と思え

ました。当の私も幾度か笑っていました。

シモンやサムのような家族を、自然体で受け入れられる地域や

人間的つながりが必要と思うようにもなりましたが、そのためには、

各人各様の姿や、生き方を認め合える度量が必要とされるかもしれ

ません。

この映画の登場人物たちに愛おしいものを感じ、映画館を後に

することができました。ほんわかとして少し幸せな気分で…。

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